2026.10.23膝の痛みに対するラジオ波治療(RFA)とは?効果・対象となる方・治療の流れを解説
「歩くと膝が痛い」
「リハビリや注射を続けているけれど、痛みがなかなか改善しない」
「人工関節の手術を勧められたけれど、ほかの方法も検討したい」
膝の痛みが続くと、歩行や外出など、日常生活にも影響が出ることがあります。治療を続けても十分な効果が得られなかったり、年齢や持病などから手術について悩んだりする方もいらっしゃいます。
当院では、変形性膝関節症の患者さまに、リハビリテーションや薬・注射による保存療法、再生医療、人工関節手術など、さまざまな治療の選択肢をご案内しています。
その一つとして、2026年11月より本格運用を開始するのが、膝関節周囲の末梢神経に対するラジオ波焼灼療法(RFA)です。
この記事では、ラジオ波治療の仕組みや期待できる効果、対象となる方、治療の流れ、費用や注意点について解説します。
ラジオ波治療(RFA)とは?
ラジオ波焼灼療法(RFA)は、膝の痛みに関係する末梢神経にラジオ波を用いて働きかけ、痛みの軽減を目指す治療です。
超音波(エコー)で神経の位置を確認しながら処置を行います。
変形性膝関節症では、関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすることで、痛みや動かしにくさが生じます。ラジオ波治療は、こうした骨や軟骨そのものを元の状態に戻すものではなく、痛みに関係する神経に働きかけることで、膝の痛みを和らげることを目的としています。
これまでの治療で十分な効果が得られなかった方や、手術以外の方法を希望される方にとって、治療の選択肢の一つとなることが期待されています。
ただし、膝の痛みの原因や関節の状態は患者さんによって異なります。ラジオ波治療が適しているかどうかは、診察やこれまでの治療経過などを踏まえて判断します。
ラジオ波治療で期待できる効果とは?
ラジオ波治療では、膝の痛みを軽減し、日常生活を送りやすくすることを目指します。
例えば、膝の痛みが原因で歩行や外出がつらい方、これまでの治療を続けても痛みが十分に改善しない方にとって、新たな選択肢となる可能性があります。
一方で、ラジオ波治療は、変形した骨やすり減った軟骨を元の状態に戻す治療ではありません。また、治療による痛みの変化には個人差があり、すべての方に同じ効果が得られるわけではありません。
治療後の生活やリハビリテーションについても、膝の状態に応じて医師と相談しながら考えていくことが大切です。
どのような方が対象になるのでしょうか?
当院では、主に重症の変形性膝関節症の方のうち、次のような方についてラジオ波治療の適応を検討しています。
- 持病や全身状態などから、手術を慎重に検討する必要がある方
- 手術以外の方法を希望されている方
- 膝の痛みによって日常生活が制限され、これまでの治療で十分な効果が得られていない方
高齢の方を中心に検討されることが想定されますが、年齢だけで対象が決まるわけではありません。
膝の痛みの程度やこれまでの治療経過、全身状態、ご本人の希望などを踏まえて、医師が総合的に判断します。
また、手術を希望されない場合でも、膝の状態によっては手術が適していることがあります。反対に、持病などから手術を慎重に検討する必要がある方にとって、手術以外の方法が選択肢となる場合もあります。
ご自身にどのような治療が適しているかを知るためにも、まずは医師にご相談ください。
治療前に行う「テストブロック」とは?
ラジオ波治療を実施する前には、「テストブロック」と呼ばれる処置を行います。
テストブロックでは、痛みに関係する神経に局所麻酔を行い、痛みがどの程度変化するかを確認します。
当院では、テストブロックによって痛みが半減した方を、ラジオ波治療の対象として検討します。
ただし、テストブロックの結果だけで治療が決まるわけではありません。膝の状態やこれまでの治療経過、全身状態、ご本人の希望なども踏まえて、医師が適応を判断します。
ラジオ波治療の流れと所要時間
当院のラジオ波治療は、局所麻酔を使用して行い、外来での日帰り治療が可能です。
STEP 01
診察・適応の確認
膝の痛みや関節の状態、これまでの治療経過、全身状態などを確認し、治療の適応を検討します。
STEP 02
テストブロック
痛みに関係する神経に局所麻酔を行い、痛みの変化を確認します。
STEP 03
ラジオ波治療の実施
テストブロックの結果などを踏まえ、医師が適応があると判断した場合に治療を行います。超音波で神経の位置を確認しながら処置を進めます。
所要時間の目安
- 処置そのもの:約30分
- 準備などを含めた所要時間:30~60分程度
※所要時間は目安です。実際の流れや所要時間は、患者さんの状態などによって異なる場合があります。
ラジオ波治療を受ける前に知っておきたいこと
ラジオ波治療を検討する際には、期待できる効果だけでなく、治療に伴うリスクや注意点についても理解しておくことが大切です。
処置に伴い、痛みや腫れ、内出血、感覚の変化などが生じる可能性があります。また、感染などの合併症にも注意が必要です。
実際に起こり得るリスクやその程度は、治療内容や患者さんの状態などによって異なります。治療を受ける前に、医師から具体的なリスクや注意点について説明を受け、十分に理解したうえで検討してください。
また、ラジオ波治療は膝の変形そのものを元に戻す治療ではありません。治療後も、膝の状態に応じてリハビリテーションなどを継続することが大切になる場合があります。
ラジオ波治療と人工関節手術の違い
ラジオ波治療と人工関節手術は、目的や役割が異なります。
ラジオ波治療(RFA)
膝の痛みに関係する神経に働きかけ、痛みの軽減を目指す治療です。関節の変形そのものを元に戻すものではありません。
人工関節手術
変形した関節を人工関節に置き換えることで、痛みや関節機能の改善を目指す治療です。膝の変形や症状などを踏まえ、手術が適している場合に検討します。
ラジオ波治療は、人工関節手術の代わりになる治療ではありません。どちらが適しているかは、膝の状態や症状、全身状態、患者さんの希望などによって異なります。
手術が適している方もいれば、手術以外の方法を検討する方もいます。治療法を一つに限定せず、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った方法を医師と一緒に考えることが大切です。
こうのす共生病院で検討している膝の治療
こうのす共生病院では、変形性膝関節症に対して、患者さんの状態や希望に応じて、次のような治療を検討しています。
| 治療方法 | 主な目的・特徴 |
|---|
| 保存療法 | 運動療法・リハビリテーション、薬や注射などによって症状の改善を目指します |
| 再生医療 | PRP療法、SVF療法、MFAT療法など。治療内容や適応を確認して検討します |
| ラジオ波治療(RFA) | 膝の痛みに関係する神経に働きかけ、痛みの軽減を目指します |
| 人工関節手術 | 膝の変形や症状などを踏まえ、手術が適している場合に検討します |
それぞれの治療には特徴があり、適応や費用、リスクなども異なります。再生医療は自由診療であり、治療内容や費用について事前に確認する必要があります。
当院がさまざまな治療を取り入れているのは、患者さん一人ひとりの状況や希望が異なるからです。
高齢であったり、持病があったりして手術を慎重に検討する必要がある方。手術までは希望されないものの、膝の痛みによって日常生活が大きく制限されている方。そうした患者さんに対しても「何かできることはないだろうか」と考え、治療の選択肢を広げてきました。
今回のラジオ波治療の導入も、その取り組みの一つです。地域の皆さんが少しでも長く、自分の足で元気に生活できるよう、当院では患者さんの状態や希望に応じた治療を検討していきます。
ラジオ波治療についてよくある質問
Q.高齢でもラジオ波治療を受けられますか?
A.年齢だけで対象が決まるわけではありません。膝の痛みの程度やこれまでの治療経過、全身状態、ご本人の希望などを踏まえ、医師が適応を判断します。
Q.ラジオ波治療を受ければ、人工関節手術をしなくて済みますか?
A.必ずしもそうとは限りません。ラジオ波治療は痛みの軽減を目指すもので、関節の変形そのものを元に戻す治療ではありません。膝の状態によっては人工関節手術が適している場合もあります。診察を受け、適切な治療について相談することが大切です。
Q.リハビリテーションや注射を受けても痛みが続いている場合、対象になりますか?
A.これまでの治療で十分な効果が得られていない方は、適応を検討する対象となる場合があります。ただし、すべての方に実施できるわけではありません。診察やテストブロックなどを通じて判断します。
Q.ラジオ波治療で、すり減った軟骨は元に戻りますか?
A.いいえ。ラジオ波治療は、膝の痛みに関係する神経に働きかけ、痛みの軽減を目指す治療です。すり減った軟骨や変形した骨を元の状態に戻すものではありません。
Q.健康保険は適用されますか?
A.所定の適応条件を満たす場合には、健康保険が適用されます。患者さんの状態や治療内容などによって取り扱いが異なる場合があるため、詳しくは受診時にご確認ください。
Q.治療費はいくらですか?
A.費用は保険の適用条件や患者さんの負担割合などによって異なります。具体的な費用については、受診時に医療機関へご確認ください。
Q.治療にはどのくらい時間がかかりますか?
A.処置そのものは約30分、準備などを含めた所要時間は30~60分程度が目安です。実際の所要時間は患者さんの状態などによって異なる場合があります。
※治療回数や効果の持続期間などについては、患者さんの状態や治療内容によって異なるため、診察時に医師へご相談ください。
膝の痛みでお悩みの方は、こうのす共生病院へご相談ください
膝の痛みが続いている方や、これまでの治療で十分な効果が得られなかった方、手術を受けるべきか迷っている方は、まずは整形外科へご相談ください。
こうのす共生病院では、膝の状態や痛みの程度、これまでの治療経過、全身状態、生活背景、治療への希望などを踏まえ、患者さん一人ひとりに合った治療を検討します。
ラジオ波治療にも適応条件があり、診察の結果によっては実施できない場合があります。治療の内容や期待できる効果、リスク、費用などについて説明を受け、ご自身に合った方法を一緒に考えていきましょう。
※本記事は治療に関する一般的な情報を提供するものであり、治療の適応を確約するものではありません。実際の治療については、医師の診察・判断が必要です。
※再生医療は自由診療です。各治療の詳しい内容、費用、主なリスク・副作用については、当院の案内をご確認ください。
2026.09.16インフルエンザの予防接種はいつ受けるべき?
毎年冬に流行するインフルエンザ🤒その予防策として多くの方が考えるのが「インフルエンザワクチン接種」です。しかし、ワクチンを受けるタイミングについて悩む方も多いのではないでしょうか?今回は、当院の薬剤師に『インフルエンザの予防接種はいつ受けるべきか?』について聞いてみました🎤
ワクチンの予防効果期間
インフルエンザワクチンの予防効果は、接種後約 2週間後 から始まります。
もちろん個人差はありますが 約5か月間 持続すると言われています。
接種による予防効果の範囲
ワクチンは、インフルエンザウイルスの発症を完全に防ぐものではありませんが、重症化を大きく抑える効果があります。
さらに、合併症(肺炎・気管支炎など)の発症リスクを下げるという報告もあります。
また、集団免疫的な効果により、ウイルスの流行拡大を一定程度抑える役割も果たします。
インフルエンザの流行パターン
インフルエンザは例年、次のような流行パターンを示すことが多いです。
11月~12月 :徐々に患者数が増加
1月~2月 :流行のピークを迎える
4月~5月 :流行が減少し、終息に向かう
この流行パターンを踏まえ、ワクチン接種のタイミングを考えましょう💉
最適なワクチン接種時期
インフルエンザの流行に備え、 徐々に患者数が増加する10月から11月 にワクチンを接種するのが最適と考えます👍この時期に接種することで、流行のピーク時(1月~2月)もカバーされます。早すぎず遅すぎないタイミングでの接種がポイントです🍀
高齢者や基礎疾患をお持ちの方へ
特に高齢者や基礎疾患を持つ方々は、インフルエンザに罹患されると重症化リスクが高いと言われています。可能であれば早めに接種を考え、かかりつけの医師や薬剤師と相談することをお勧めいたします✨
以下の状況にある方は、予め医師にご相談ください
- 重いアレルギー反応(ワクチン成分に対するアナフィラキシー歴など)を経験された方
- 急性の重篤な疾患で体調が不安定なとき
- 重度の免疫抑制状態にある方(免疫抑制薬を使用中など)
- 発熱などの明らかな感染症があるとき
ワクチン効果を最大化するために
- 接種後 2週間は人混みを避ける、手洗い・マスク・うがいなど感染対策を続けましょう。
- インフルエンザワクチンだけでなく、定期的な健康管理(睡眠・栄養・運動)も大切です。
- 接種後の体調変化を記録しておくと、医師との相談に役立ちます。
最後に
インフルエンザワクチンを適切なタイミングで接種し、その効果を最大限に引き出しましょう💉接種時期について不安がある方は、かかりつけの医療機関にご相談ください。予防は万全を期すための第一歩です💪今年の冬も健康で過ごすために、早めの準備を心がけましょう。
2026.08.06こうのす共生病院 訪問看護ステーション WADACHIを開設しました~住み慣れた地域で、その人らしい暮らしを支えるために~
このたび、こうのす共生病院では、2026年8月よりこうのす共生病院訪問看護ステーション「WADACHI(わだち)」を開設いたしました。
これまで当院では、訪問診療・訪問リハビリ・訪問マッサージを通して、ご自宅で療養される患者様を支えてきました。今回、新たに訪問看護が加わることで、4つの在宅サービスが連携し、より切れ目のない支援体制を整えることができました。
「退院したら終わり」ではなく、「暮らしが始まる」
医療技術の進歩により、入院期間は以前より短くなり、治療後はご自宅や施設で療養生活を送る方が増えています。
しかし、退院後には、
- 体調に変化があったらどうしよう
- 家族だけで介護を続けられるだろうか
- 医療処置や服薬管理に不安がある
といった悩みを抱える方も少なくありません。
私たちは、退院はゴールではなく、新しい暮らしのスタートだと考えています。だからこそ、病院を離れた後も安心して生活を続けられるよう、訪問看護を通じて患者様とご家族を支えてまいります。
「WADACHI」に込めた想い
訪問看護ステーションの名称である「WADACHI(わだち)」には、一人ひとりが歩んできた人生の軌跡を大切にし、その先も安心して歩み続けられるよう支えたいという想いを込めました。
轍(わだち)は、これまで歩んできた道の証であり、未来へ続く道でもあります。
私たちは病気だけを見るのではなく、その人が大切にしてきた暮らしや価値観、ご家族との時間にも寄り添いながら、「その人らしい人生」を支える訪問看護を目指します。
病院直営だからできる安心の連携
今回の開設により、当院では
の4つの在宅サービスが連携する体制となりました。
病院直営だからこそ、医師・看護師・リハビリスタッフ・地域連携スタッフが日頃から密に情報共有を行い、体調の変化や医療的な判断が必要な場面でも迅速な対応につなげることができます。
病院での治療だけでなく、退院後の療養生活、リハビリ、医療的ケア、そして人生の最終段階まで、一人ひとりの暮らしを切れ目なく支えていきます。
地域とともに歩み続ける病院へ
鴻巣市では高齢化が進み、今後さらに在宅医療や地域での支え合いの重要性が高まることが予想されています。
こうのす共生病院では、「病院で患者様を待つ医療」だけではなく、「地域で暮らし続けることを支える医療」の実現を目指しています。
訪問看護ステーション「WADACHI」の開設は、その取り組みをさらに前進させる新たな一歩です。
これからも、医療・介護・福祉の垣根を越えて地域の皆さまと連携し、一人ひとりが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう努めてまいります。
訪問看護についてのご相談やご利用をご検討されている方は、お気軽にお問い合わせください。
2026.07.10【職員紹介】「患者さんのために学び続ける。」リハビリ科大学院修了(修士)で学んだ3名の療法士に聞く
理学療法士(PT)や作業療法士(OT)は、国家資格取得後も学び続ける職業です。
学会や研修会への参加、認定資格の取得など、さまざまな学びの形がありますが、その選択肢のひとつが「大学院(修士課程・博士課程)」です。
実は当院には、働きながら大学院で学び、修士号を取得したリハビリ専門職が3名在籍しています。
それぞれが異なる分野で学びを深めながら、その知識や経験を日々の臨床に活かしています。
「大学院ではどのようなことを学ぶの?」「仕事をしながら通うことはできるの?」「なぜ社会人になってから再び学ぼうと思ったの?」
今回は、そんな疑問にお答えするため、3名のスタッフに大学院進学のきっかけや学びの内容、そして今後の展望について話を聞きました。
「埋もれない療法士になるために」理学療法士 鈴木さん
鈴木さんが大学院進学を考えたきっかけは、前職で出会った先輩からの助言でした。
当時勤務していた病院には大学院へ進学する療法士も多く、実習指導者だった先輩から「多くの理学療法士がいる中で、自分だけの強みを持つことが大切だ」と背中を押されたといいます。
また、近年のリハビリテーションでは、科学的根拠(エビデンス)に基づいた実践が求められています。論文を正しく読み解き、臨床に活かす力を身につけたいという思いも、進学を決意した理由の一つでした。
学んだことをスポーツ現場へ
大学院では、投球動作をテーマに研究を実施。3次元動作解析装置「Vicon」を用いてスポーツ動作の分析を行いました。
現在はインソールに関する研究にも取り組んでおり、今後はスポーツ選手へのリハビリテーションや動作分析を活かした評価・治療に力を入れていきたいと考えています。
また、自身の学びを後輩たちにも伝えながら、リハビリ専門職全体の成長につなげていきたいと語ってくれました。
「機能だけでなく、その人の人生を支えたい」理学療法士 清水さん
訪問リハビリテーションに従事する清水さんが選んだのは、老年学専攻でした。
老年学は、高齢者を医学的・心理学的・社会学的な側面から総合的に学ぶ学問です。
当時、訪問リハビリの現場では、「身体機能の改善には限界がある」「維持期に入っている」という利用者さんに多く出会いました。
しかし、そのような状況でもQOL(生活の質)を高めることはできるのではないか。
そんな思いが進学の原動力になったといいます。
論文を“患者さんのため”に活かしたい
大学院で学ぶ中で、清水さんが特に感じたのは、「論文と臨床をどうつなげるか」という課題でした。
多くの療法士は教科書で勉強します。
しかし、その教科書の土台となっているのは研究論文です。
だからこそ、「論文を患者さんに当てはめるのではなく、目の前の患者さんに必要な論文を探して活かすことが大切」だと話します。
エビデンスを重視しながらも、心理面や社会面にも目を向け、その人らしい生活を支えていく。
清水さんは、そんなリハビリテーションを目指しています。
「もう一度、本気で勉強したかった」作業療法士 原さん
大学院進学には、実は2つの理由があったそうです。
ひとつは、子どもの頃からの夢だった「大学の先生になること」。
当時は漠然と、「大学の先生ってすごそう」「お金持ちになれそう」という憧れもあったと笑います。
大学教員を目指すためには大学院での学びが必要であり、その思いは社会人になってからも心の中に残っていたそうです。
社会人になってから選んだ学び
もうひとつの理由は、作業療法士3年目の頃に感じた「もう一度しっかり勉強したい」という気持ちでした。
作業療法士として経験を積む中で、改めて基礎から学び直したいと考えた原さん。
大学院は、自分で選び、自分の意思で通う初めての学びの場だったと振り返ります。
大学院では研究だけでなく、生理学などの専門分野についても深く学びました。臨床経験を積んだからこそ見える疑問や課題に向き合うことで、新たな視点を得ることができたといいます。
また、大学院で出会った仲間との交流も大きな財産になったそうです。学ぶ楽しさを改めて実感しながら、自身の成長を患者さんや地域へ還元していきたいと考えています。
学ぶことは、自分のためだけではない
今回お話を聞いた3名に共通していたのは、「学位を取得すること」が目的ではなかったということです。
大学院への進学理由はそれぞれ異なります。研究を深めたい、自分の専門性を高めたい、もう一度しっかり学び直したい――そのきっかけはさまざまでした。
しかし、その根底にあったのは、「学んだことを患者さんや利用者さん、地域のために役立てたい」という共通の思いでした。
大学院では、専門知識だけでなく、研究手法や論文の読み解き方、多角的な視点で物事を考える力を身につけることができます。リハビリテーション医療の世界では新しい知見が日々生まれており、それらを正しく理解し、目の前の患者さん一人ひとりに合わせて活かしていくことが求められています。
また、身体機能だけでなく、心理面や社会面にも目を向けながら支援することは、その人らしい生活やQOL(生活の質)の向上にもつながります。
そして何より、3名が口を揃えていたのは、「学ぶことは楽しい」ということでした。
大学院には、自ら学ぶことを選んだ人たちが集まります。年齢や職種、経験もさまざまですが、そこでの出会いや交流は新たな刺激となり、自分自身の視野を広げてくれます。
大学院進学は決して簡単な選択ではありません。仕事と学業の両立も必要です。それでも今回お話を聞いた3名は、働きながら学び続けることで、自身の成長だけでなく、患者さんや地域へのより良い医療・介護サービスにつなげてきました。
当院でも、それぞれの専門性を高めながら学び続けるリハビリ専門職が活躍しています。
これからも私たちは、学びを止めることなく、その学びを患者さんや地域の皆さまへ還元していきたいと思います。
2026.07.02海馬(かいば)とは?なぜ大切なの?役割や脳の健康との関係をわかりやすく解説
健康診断では、血圧や血糖値、コレステロールなど、体の健康状態を確認する機会があります。
では、「脳の健康」について考えたことはあるでしょうか。
脳には海馬(かいば)という、記憶や学習に深く関わる重要な部位があります。
「最近、人の名前がすぐに思い出せない」「物忘れが増えた気がする」と感じることがあっても、その背景にはさまざまな要因が考えられます。
今回は、海馬の役割や、なぜ大切なのか、日頃からできる脳の健康づくり、そして海馬の状態を確認する方法についてご紹介します。
海馬(かいば)とは?
海馬は、脳の左右それぞれにある小さな器官で、その形がタツノオトシゴに似ていることから「海馬」と名付けられました。脳の奥深くに位置し、新しい出来事や経験を記憶する働きを担っています。
例えば、
- 初めて会った人の名前を覚える
- 新しい道順を覚える
- 昨日食べた夕食を思い出す
- 新しい趣味や知識を身につける
こうした日常の「覚える」という働きに、海馬は深く関わっています。
なぜ海馬は大切なの?
海馬は、新しい情報を整理し、長く記憶として残すための大切な役割を担っています。よく「記憶の入口」や「記憶の司令塔」と表現されることもあります。
例えば、本を読んだ内容や旅行の思い出、新しく覚えた仕事などは、一度海馬で整理されてから、長期的な記憶として蓄えられていきます。
海馬が適切に働くことで、私たちは日々の出来事を学びや経験として積み重ねることができます。
海馬は年齢とともに変化する?
海馬は加齢とともに変化することが知られています。
一方で、海馬は脳の中でも新しい神経細胞が生まれる「神経新生」が起こる数少ない部位とされており、生活習慣との関わりについても研究が進められています。
そのため、脳の健康を考えるうえでは、日々の生活習慣も大切な要素の一つと考えられています。
海馬の健康を保つためにできること
毎日の生活の中で、脳の健康づくりにつながると考えられている習慣をご紹介します。
適度な運動
ウォーキングなどの有酸素運動は、脳への血流を促し、健康づくりにも役立つとされています。無理のない範囲で体を動かす習慣を取り入れてみましょう。
良質な睡眠
睡眠中には、その日に得た情報を整理し、記憶として定着させる働きがあると考えられています。睡眠不足が続くと集中力や記憶力に影響することもあります。
人との会話
家族や友人との会話は、言葉を考えたり相手の話を理解したりするため、脳を幅広く使います。地域活動や趣味の集まりなども良い機会になります。
新しいことに挑戦する
読書や料理、新しい趣味、旅行、楽器、資格の勉強など、新しい経験は脳への刺激につながると考えられています。「いつもと少し違うこと」を楽しむことも大切です。
バランスのよい食生活
魚や野菜、果物などを取り入れたバランスのよい食生活は、全身の健康だけでなく、脳の健康維持にもつながると考えられています。
海馬の状態は確認できる?
健康診断で血圧や血糖値を確認するように、「脳の状態も知りたい」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
近年では、MRI画像をもとに海馬の状態を確認する検査が行われるようになっています。
その一つがブレインスイートです。
ブレインスイートとは?
ブレインスイートは、MRI画像をもとに海馬の状態を確認する検査です。こうのす共生病院では、健康管理の一環として実施しています。
検査では、海馬の状態を確認するとともに、次のような情報をレポートで確認できます。
- 海馬の状態
- 同年代・同性との比較
- 将来を見据えた参考情報
- 生活習慣を見直すためのアドバイス
※検査結果は健康管理の参考情報であり、認知症などの診断を目的とするものではありません。
「脳健康チェック」で脳の働きを楽しく確認
ブレインスイートでは、MRI検査だけでなく、「脳健康チェック」も受けることができます。ゲーム感覚で取り組める内容で、
などを確認します。「難しいテスト」というよりも、ご自身の現在の状態を知るきっかけとして、多くの方に親しみやすい内容です。検査結果は、今後の健康管理や生活習慣を見直す際の参考として活用できます。
ブレインスイートはこんな方におすすめです
- 脳の健康状態を確認したい方
- 健康管理の一環として検査を受けたい方
- 海馬について詳しく知りたい方
- 将来に向けて健康づくりに取り組みたい方
- ご家族と一緒に脳の健康について考えたい方
よくある質問
Q. 海馬とは何ですか?
A. 海馬は、脳の中で新しい記憶をつくる働きに深く関わる部位です。新しい出来事や経験を整理し、記憶として定着させる役割があります。
Q. 海馬はなぜ大切なのですか?
A. 日常生活で新しいことを覚えたり学習したりするために欠かせない部位だからです。記憶や学習を支える重要な役割を担っています。
Q. ブレインスイートとはどのような検査ですか?
A. MRI画像をもとに海馬の状態を確認する検査です。海馬の状態や同年代との比較などをレポートで確認できます。
Q. 認知症の検査ですか?
A. ブレインスイートは海馬の状態を確認する検査であり、認知症の診断を目的とした検査ではありません。検査結果は健康管理や医師への相談時の参考情報としてご活用いただけます。
Q. 脳ドックとの違いは何ですか?
A. 一般的な脳ドックは脳卒中や脳腫瘍など脳全体の状態を確認することが主な目的です。一方、ブレインスイートは海馬に着目した検査です。目的が異なるため、詳しくは医師にご相談ください。
Q. 検査時間はどのくらいですか?
A. MRI撮影は約5分です。脳健康チェックなどを含めた所要時間については、ご予約時にご案内いたします。
Q. 保険は使えますか?
A. ブレインスイートは自費診療です。料金や詳細については、お気軽にお問い合わせください。
Q. MRIを受けられない場合はありますか?
A. 心臓ペースメーカーなど、MRI検査を受けられない場合があります。事前に医師またはスタッフへご相談ください。
海馬は、私たちが日々の出来事を覚え、学び、経験を積み重ねていくために欠かせない大切な部位です。
適度な運動や十分な睡眠、人との交流、新しいことへの挑戦など、日々の生活習慣は脳の健康づくりにつながると考えられています。
また、健康診断で体の状態を確認するように、脳の健康について考えるきっかけを持つことも大切です。
こうのす共生病院では、海馬の状態を確認する検査「ブレインスイート」を実施しています。
「今の自分の脳の健康状態を知ってみたい」とお考えの方は、健康管理の一環としてご検討ください。
健診センター直通:048-541-7737
2026.06.26カンボジア医療支援 2026
子どもたちと過ごした3日間の記録
はじめに
こうのす共生病院(鴻愛会)、フォレストデンタルグループ、医療法人メイ・ロイヤル、協力いただいた医師・医療職が実施した、カンボジアにおける国際医療支援、医科歯科検診、ボランティア活動の記録です。
この活動は、誰かの強制ではなく「自らの意志で手を挙げ、その中から選ばれたメンバー」によって構成され、参加者一人ひとりが“誰かのために自分の力を活かしたい”という思いを胸に集まりました。
2026年6月、3つの法人を中心に集まった計26名のチームで、カンボジア・シェムリアップ州を訪れ、3日間にわたる医療支援活動を行いました。子どもたちの健康と笑顔を守りたい。その思いを胸に臨んだ活動の様子を、現地でのできごとを中心にお伝えします。
支援の背景
カンボジアは1970年代後半、ポル・ポト政権下において極端な共産主義政策が敷かれ、知識層を中心とした大量粛清が行われました。
この歴史的悲劇により、医師を含む多くの医療関係者・教育者が命を落としました。
その影響は現在も色濃く残っており、人口あたりの医師数は日本の10分の1以下とされています。その少ない医師の多くが首都プノンペンなど都市部に集中しているため、シェムリアップをはじめとする地方では、必要なときに医療を受けることが困難なのが実情です。
そしてカンボジアは、15歳未満が人口の約3割を占めるほど、子どもがとても多い国です。だからこそ私たちは、この地で「いま自分たちにできること」として、未来を担う子どもたちの健康を見守ることを活動の柱に据えました。整形外科による運動器(ロコモ)検診を中心に、耳鼻科・歯科が専門を持ち寄り、子どもたちの身体を多角的に診ています。
大切にしているのは、一度きりで終わらせないこと。現地の皆さんとともに毎年少しずつ続け、その先の地域の健康へとつなげていきたいと考えています。
こうした想いを胸に、今年も現地でさまざまな活動に取り組んできました。ここからは医科を中心に、その様子を順にご紹介します。
検診の2日間 ──まずは、動画でどうぞ
現地では2日間にわたって、子どもたちの検診を行いました。整形外科・耳鼻科・歯科が、それぞれの専門を活かして子どもたちと向き合った様子を、ダイジェスト動画でご覧ください。
【動画①:検診ダイジェスト 1日目】
【動画②:検診ダイジェスト 2日目】
ここからは、それぞれの検診について、もう少しだけご紹介します。
運動器(ロコモ)検診
こうのす共生病院としては、孤児院と小学校の2施設で、約300名の子どもたちを対象に、運動器(ロコモティブシンドローム)検診を行いました。立った姿勢や前屈、片足立ち、しゃがみ込みなど、身体の動きを一つひとつ確認していきます。この検診は、今年で3年目を迎えました。
今年は新たに、側弯症(背骨の曲がり)を専門とする整形外科医が加わり、より丁寧に子どもたちの身体を診ることができました。あわせて、現地の看護学生に向けた側弯症の講義も行い、これから現地の医療を担う若い世代との、学びの時間にもなりました。
なお、あわせて行った生活習慣などの問診票には、アンコール大学の学生など約50名にもご協力いただきました。
【写真:ロコモ検診の様子(前屈や片足立ちで身体の動きを確認)】
【写真:看護学生への側弯症講義の様子】
耳鼻科検診・聴力検査
耳鼻科では、耳・鼻・のどの診察に加えて、聴力検査を行いました。今年は、聴力に関するより精密な検査(OAE:耳音響放射)にも取り組んでいます。
日本のように静かな個室を用意することが難しい環境のなかで、現地スタッフの通訳に支えられながら、一人ひとりていねいに検査を進めました。中には、驚くほど大きな耳垢が見つかる子もいて、小さな頃から耳の健康に関わることの大切さを、あらためて感じる時間となりました。
【写真:耳鼻科検診・聴力検査の様子】
歯科検診・歯みがき指導
歯科グループは、歯科検診と歯みがき指導を担当しました。子どもたちが自分の歯を守る習慣を身につけられるよう、楽しく学べる工夫を凝らしながら向き合いました。(※歯科の活動の詳細は、歯科グループよりあらためてご紹介の予定です)
【写真:歯科検診・歯みがき指導の様子】
アンコール共生病院での診察・治療
現地でのパートナーであるアンコール共生病院では、事前にご依頼のあった数名の患者さんを対象に、診察・治療を行いました。学校での検診が体の不調に「気づく」入り口だとすれば、病院での診察・治療は、そこから実際の医療へとつなげる一歩です。現地に拠点となる病院があることは、私たちの支援をその場限りにせず、継続的なものにしていくうえで、大きな支えになっています。
検診のあとに、ささやかなプレゼントを
検診を終えた子どもたちには、ひとつずつプレゼントを手渡しました。受け取った瞬間のはにかんだ笑顔や、さっそく紙風船で遊びはじめる無邪気な姿に、検診のあいだ少し緊張していた表情がふっとほどけていきます。健康を守る時間が、子どもたちにとって少しでも楽しい思い出になっていたら。そんなふうに願っています。
【写真:健診後、紙風船で遊ぶ子どもたちの様子】
養護施設「共生の家」で、日本の夏祭りを
検診とあわせて、私たちが毎年大切にしているのが、子どもたちとの交流の時間です。
さまざまな事情から親と離れて暮らす子どもたちが生活する養護施設「共生の家」では、今年、日本の夏祭りを開催しました。かき氷、焼きそば、お好み焼き、スーパーボールすくい、ヨーヨー釣り。みんなでハッピを着て、思いきり楽しいひとときを過ごしました。
子どもたちの弾けるような笑顔に、私たちのほうがたくさんの元気をもらった。そんな、忘れられない時間になりました。
【写真:夏祭りの様子(かき氷・ヨーヨー釣り・ハッピ姿など)】
おわりに
活動期間中は外来診療を一部お休みし、患者の皆さまにはご不便をおかけしました。あたたかく送り出してくださったことに、心より感謝申し上げます。
子どもたちの健康を守り、その先の地域の未来へつなげていく。
その想いを胸に、私たちはこれからもこの活動を続けてまいります。
検診の詳しい内容や、活動を通じて見えてきたこと、これからの取り組みについては、集計を経て、後日あらためてご報告します。どうぞ続報をお待ちください。
実施概要
実施期間:2026年6月7日〜11日(医科チーム。移動日を含む行程。現地での活動は6月8日〜10日の3日間)
支援地域:シェムリアップ州
検診人数:約300名
・Butterfly Paradise Orphanage(約170名)
・Kvien Primary School(約130名)
問診票アンケート:約350名
(上記の子どもたちに加え、アンコール大学の学生など約50名にもご協力いただきました)
講義:アンコール大学 看護学生向け 側弯症の講義
参加人数:計26名(医科チーム13名/歯科チーム13名)
法人別
・鴻愛会 医科チーム:13名
・フォレストデンタルグループ:10名
・医療法人メイ・ロイヤル:3名
医科チーム13名の内訳
・医師:7名(こうのす共生病院 2/松園第二病院 1/北里大学メディカルセンター 1/群馬大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 1/東北大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 1/ほか 1)
・理学療法士:2名(こうのす共生病院)
・言語聴覚士:1名(東北大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科)
・看護師:1名(こうのす共生病院)
・事務・帯同生徒:2名(こうのす共生病院)
スケジュール(医科チーム)
・6/7:日本から移動
・6/8(1日目):アンコール大学での講義、Butterfly Paradise Orphanage での検診
・6/9(2日目):Kvien Primary School での検診、アンコール共生病院での診察・治療、共生の家での交流(夏祭り)
・6/10(3日目):訓練学校の見学(夕方、現地を出発)
・6/11:日本到着
※本記事中のカンボジアに関する数値の出典:医師数(人口あたり)はWHO・世界銀行、人口構成(15歳未満の割合)はCIA World Factbook ほかによります。
2026.06.11【職員紹介】運動器リハビリの専門家!認定理学療法士・鈴木さんのご紹介
今回は、当院で外来リハビリテーションを担当している理学療法士・鈴木さんをご紹介します。
鈴木さんは「認定理学療法士(運動器分野)」の資格を有しています。
認定理学療法士とは、日本理学療法士協会が定める制度の一つで、特定の分野において専門的な知識と技術を持つ理学療法士に与えられる資格です。
運動器分野は、骨・関節・筋肉などに関わる痛みや機能障害を対象としたリハビリを専門としています。
この資格は、単に試験に合格すれば取得できるものではありません。
症例レポートの提出や試験に加え、日々の研修参加や学会発表などを通じて知識と経験を積み重ねる必要があります。さらに更新制となっており、資格を維持するためにも継続的な学びが求められます。
つまり、認定理学療法士であるということは、「常に新しい知識を取り入れながら、より良いリハビリを提供し続けている」という一つの証でもあります。
「その人のやりたいこと」を大切にするリハビリ
鈴木さんが大切にしているのは、「その方が本当にやりたいこと」に寄り添うリハビリです。
例えば、「歩けるようになりたい」という方には実際に歩く練習を、「自転車に乗りたい」という方には自転車動作の練習を行うなど、目標に直結したアプローチを重視しています。
一時的に楽になるだけの施術ではなく、「これから先の生活をどう変えていくか」に目を向けているのが特徴です。
“なんとなく良くなる”ではなく、“できるようになる”へ
リハビリというと、マッサージのようなイメージを持たれる方も少なくありません。
しかし本来のリハビリは、「できなかったことができるようになる」ことを目指すものです。
鈴木さんは、姿勢や動き方の改善、筋力の使い方の再学習などを通して、再発しにくい身体づくりまで見据えた支援を行っています。
患者さまにとっての安心と、これからの医療のかたち
認定理学療法士の資格は、医療機関のホームページ等で公表することが認められており、専門性を示す一つの指標となっています。
当院のリハビリテーション科は、こうした専門資格を持つスタッフが在籍していることも、安心してリハビリを受けていただける理由の一つです。
リハビリは、単なる機能回復にとどまらず、「その人らしい生活を取り戻す」ための大切なプロセスです。
当院では、患者様一人ひとりの目標に寄り添いながら、専門性を活かしたリハビリを提供しています。
お身体のことでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
2026.05.19【糖尿病とは何か】HbA1cの意味・合併症・治療の基本
健診でHbA1cが高いと言われた方へ。糖尿病とは何か、合併症のリスク、治療の考え方まで糖尿病専門医がわかりやすく解説します。
糖尿病とは
糖尿病は、血液中のブドウ糖、つまり血糖値が高い状態が慢性的に続く病気です。
食事から摂取した糖は、体を動かすためのエネルギーとして利用されます。その際に重要な働きをするのが、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンです。インスリンは、血液中の糖を細胞に取り込み、血糖値を下げる役割を担っています。
糖尿病では、インスリンの分泌が不足したり、インスリンの効きが悪くなったりすることで、血液中に糖が多く残り、血糖値が高い状態が続きます。
初期には自覚症状が少ないことも多く、健診で初めて血糖値やHbA1cの異常を指摘される方も少なくありません。
一方で、血糖値が高い状態を放置すると、目、腎臓、神経、心臓、血管などに少しずつ負担がかかり、合併症につながることがあります。
糖尿病は、早い段階から正しく評価し、食事療法・運動療法・薬物療法を組み合わせて管理することで、合併症の予防や進行抑制を目指すことができる病気です。
HbA1cとは
HbA1cは、過去1〜2か月間の平均的な血糖の状態を反映する検査項目です。
血糖値は、食事の内容や時間、運動、体調、ストレスなどによって日々変動します。健診当日の血糖値がそれほど高くなくても、普段の血糖値が高めに推移している場合があります。
一方、HbA1cは日々の一時的な変動に左右されにくく、一定期間の血糖コントロールの状態を確認するために用いられます。
そのため、糖尿病の診断、治療効果の確認、治療方針の見直しにおいて重要な指標です。 健診でHbA1cが高いと指摘された場合は、「その日だけ血糖値が高かった」というよりも、一定期間にわたって血糖値が高めであった可能性があります。糖尿病または糖尿病予備群にあたるかどうかを確認するため、一度医療機関で詳しく評価することをおすすめします。
糖尿病は合併症予防が大切です
糖尿病は、血糖値が高い状態が続くことで、全身の血管や神経に少しずつ影響を及ぼします。
初期には自覚症状が乏しいことも多いですが、知らないうちに合併症が進行している場合があります。
そのため、血糖値やHbA1cを管理するだけでなく、目、腎臓、神経、心臓、血管などの状態を定期的に確認することが大切です。 糖尿病の合併症には、大きく分けて「細い血管に起こる合併症」と「太い血管に起こる合併症」があります。
細い血管に起こる合併症
糖尿病網膜症
目の奥にある網膜の血管が障害される病気です。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると視力低下や眼底出血を起こし、重症化すると失明につながることがあります。
症状がなくても、定期的に眼科で眼底検査を受けることが重要です。
糖尿病性腎症
腎臓の細い血管が障害され、尿にたんぱくが出たり、腎機能が低下したりする病気です。
初期には症状が出にくく、尿検査や血液検査で初めてわかることがあります。
進行すると、むくみや高血圧を伴い、重症化すると透析が必要になる場合もあります。
尿蛋白、尿アルブミン、eGFRなどを定期的に確認することが大切です。
糖尿病性神経障害
手足の神経が障害され、足先のしびれ、痛み、感覚の鈍さなどが起こることがあります。
感覚が鈍くなると、足の傷ややけどに気づきにくくなり、感染や潰瘍につながることがあります。
また、自律神経が障害されると、立ちくらみ、胃腸の不調、便秘、下痢、排尿障害、発汗異常などがみられることもあります。
太い血管に起こる合併症
糖尿病は、動脈硬化を進める原因にもなります。
特に、高血圧、脂質異常症、肥満、喫煙などが重なると、心臓や脳、足の血管の病気につながりやすくなります。
心筋梗塞・狭心症
心臓の血管が狭くなったり詰まったりすることで、胸の痛みや息切れを起こすことがあります。
糖尿病の方では、典型的な胸痛が目立たない場合もあり、気づかないうちに心臓の病気が進んでいることもあります。
脳卒中
脳の血管が詰まったり破れたりする病気です。
手足の麻痺、ろれつが回らない、顔のゆがみ、急なめまいなどがみられることがあります。糖尿病では動脈硬化が進みやすく、脳梗塞などのリスクが高まります。
末梢動脈疾患・足病変
足の血管の流れが悪くなることで、歩くと足が痛くなる、足が冷たい、傷が治りにくいなどの症状が出ることがあります。
神経障害があると傷に気づきにくく、血流障害があると治りにくいため、感染や潰瘍につながることがあります。
合併症を防ぐために確認すること
糖尿病の合併症を防ぐためには、血糖値やHbA1cだけでなく、全身の状態を総合的に確認することが重要です。
当外来では、必要に応じて以下の項目を確認します。
- 血糖値
- HbA1c
- 血圧
- コレステロール・中性脂肪
- 腎機能
- 尿蛋白
- 尿アルブミン
- 肝機能
- 体重
- 神経障害の有無
- 眼科受診状況
- 心血管疾患のリスク
糖尿病は、症状がない段階から適切に管理することで、合併症の発症や進行を抑えることが期待できます。
当院の糖尿病診療の特徴
1.糖尿病専門医による診療
糖尿病専門医が、血糖値やHbA1cだけでなく、年齢、体重、生活習慣、腎機能、血圧、脂質、合併症リスクなどを総合的に評価します。
患者さん一人ひとりの状態に合わせて、治療方針をご提案します。
2.合併症予防を重視した診療
糖尿病は、腎臓、眼、神経、心臓、血管などに影響する病気です。
当外来では、血糖管理だけでなく、合併症の早期発見と進行予防を意識した診療を行います。 尿蛋白、尿アルブミン、腎機能、血圧、脂質なども含めて確認し、将来の合併症リスクをできるだけ抑えることを目指します。
3.生活に合わせた治療提案
糖尿病の治療は、長く続けていくことが大切です。
食事、運動、仕事、年齢、体重、低血糖リスクなどを考慮し、患者さんの生活に合った、無理なく継続しやすい治療を一緒に考えます。
4.薬物療法の見直しにも対応
糖尿病治療薬にはさまざまな種類があります。
現在の血糖状態、体重、腎機能、合併症、低血糖リスクなどを踏まえ、内服薬、注射薬、インスリン治療などを必要に応じて検討します。
すでに治療中の方でも、HbA1cが高い状態が続く場合、低血糖が心配な場合、体重増加が気になる場合には、治療内容を見直すことで改善につながることがあります。
5.必要に応じた専門連携
糖尿病は全身に関わる病気です。
必要に応じて、眼科、腎臓内科、循環器内科、管理栄養士などと連携し、患者さんの状態に応じた診療を行います。
当院で行う主な検査
糖尿病の状態や合併症リスクを確認するため、患者さんの状態に応じて検査を行います。
- 血糖値
- HbA1c
- 尿検査
- 尿蛋白
- 尿アルブミン
- 腎機能検査
- 肝機能検査
- 脂質検査
- 血圧測定
- 体重測定
必要に応じた合併症評価 検査内容は、患者さんの状態やこれまでの検査結果をふまえて検討します。
当院で行う主な検査
糖尿病の状態や合併症リスクを確認するため、患者さんの状態に応じて検査を行います。
- 血糖値
- HbA1c
- 尿検査
- 尿蛋白
- 尿アルブミン
- 腎機能検査
- 肝機能検査
- 脂質検査
- 血圧測定
- 体重測定
- 必要に応じた合併症評価
検査内容は、患者さんの状態やこれまでの検査結果をふまえて検討します。
早めの受診をおすすめします
糖尿病は、早期から適切に対応することで、生活習慣の見直しや治療につなげやすい病気です。
「症状がないから大丈夫」と思っていても、血糖値やHbA1cが高い状態が続いている場合があります。
健診で異常を指摘された方、糖尿病予備群と言われた方は、一度医療機関で状態を確認することをおすすめします。 また、すでに糖尿病治療中の方でも、血糖値が改善しにくい場合や、薬の内容に不安がある場合は、治療方針の見直しが必要になることがあります。
よくある質問
Q.健診で血糖値やHbA1cが高いと言われました。受診した方がよいですか?
A.はい、一度医療機関で状態を確認することをおすすめします。
血糖値やHbA1cが高い状態でも、初期には自覚症状がほとんどないことがあります。
症状がない場合でも、糖尿病や糖尿病予備群にあたる可能性があります。 健診結果をお持ちいただくと、現在の血糖状態や今後の対応について確認しやすくなります。
Q.HbA1cが少し高いだけでも相談できますか?
A.はい、ご相談いただけます。
HbA1cが軽度の上昇であっても、糖尿病予備群や糖尿病の初期段階である場合があります。
早い段階で生活習慣を見直すことで、糖尿病への進行予防や血糖改善につながる可能性があります。「まだ薬を飲むほどではないかもしれない」と思う段階でも、お気軽にご相談ください。
Q.糖尿病は症状がない場合でも治療が必要ですか?
A.糖尿病は、症状がない時期から管理することが大切です。
糖尿病は初期には自覚症状が乏しいことが多い一方で、血糖値が高い状態が続くと、目、腎臓、神経、心臓、血管などに少しずつ影響が出ることがあります。
症状が出てからではなく、症状がない段階から合併症を予防することが重要です。
Q.糖尿病は薬を使わずに改善できますか?
A.血糖値やHbA1cの程度、体重、生活習慣、合併症の有無によって異なります。
糖尿病予備群や軽症の糖尿病では、食事療法や運動療法など生活習慣の見直しを中心に管理できる場合があります。
一方で、血糖値が高い場合や合併症リスクがある場合には、薬物療法が必要になることもあります。
当外来では、患者さんの状態に合わせて治療方針を相談します。
Q.すでに糖尿病の薬を飲んでいますが、数値が改善しません。相談できますか?
A.はい、ご相談いただけます。
糖尿病治療では、薬の種類や量だけでなく、食事、運動、体重、腎機能、低血糖リスク、生活リズムなどを含めて見直すことが大切です。
現在の治療を続けてもHbA1cが高い状態が続く場合は、薬の調整や治療方針の再検討が必要になることがあります。
お薬手帳や最近の検査結果をご持参ください。
Q.インスリンを勧められましたが、不安があります。相談できますか?
A.はい、ご相談いただけます。
インスリン治療が必要かどうかは、血糖値、HbA1c、膵臓からのインスリン分泌の状態、合併症、生活背景などをふまえて判断します。
インスリンが必要な場合でも、治療方法、注射の回数、低血糖への対応などを確認しながら進めることができます。
不安がある方もご相談ください。
Q.一度インスリンを始めると、一生やめられませんか?
A.必ずしもそうとは限りません。
血糖値が非常に高い時期や体調不良の時期に、一時的にインスリンが必要になることがあります。
その後、血糖状態が改善すれば、内服薬や他の治療に変更できる場合もあります。
ただし、1型糖尿病やインスリン分泌が大きく低下している場合など、継続的なインスリン治療が必要な方もいます。患者さんの状態に応じて判断します。
Q.低血糖が心配です。相談できますか?
A.はい。低血糖が心配な方もご相談ください。
低血糖は、ふらつき、冷や汗、動悸、手の震え、強い空腹感などとして現れることがあります。
高齢の方や腎機能が低下している方では、低血糖を起こしやすい場合があります。
薬の種類や量、食事量、生活リズムなどを確認し、低血糖を起こしにくい治療を検討します。
Q.糖尿病の合併症が心配です。どのような検査をしますか?
A.血糖値やHbA1cだけでなく、腎臓、眼、神経、心臓、血管などの状態を確認します。
当外来では、尿検査、尿蛋白、尿アルブミン、腎機能、脂質、血圧などを確認し、必要に応じて眼科や他の専門科と連携します。
糖尿病の合併症は初期には症状が出にくいことがあるため、定期的な確認が大切です。
Q.腎機能低下や尿蛋白を指摘されました。糖尿病と関係がありますか?
A.糖尿病と関係している場合があります。
糖尿病では、腎臓の細い血管に負担がかかり、尿蛋白や尿アルブミンが出たり、腎機能が低下したりすることがあります。
早期に確認し、血糖、血圧、脂質などを総合的に管理することが大切です。
健診や他院で腎機能低下、尿蛋白、尿アルブミンを指摘された方もご相談ください。
Q.糖尿病治療中ですが、体重増加が気になります。相談できますか?
A.ご相談いただけます。
糖尿病の治療では、血糖値だけでなく体重管理も大切です。
薬の種類によっては体重に影響することもあります。
患者さんの体重、食事内容、運動習慣、現在の薬の内容を確認し、無理なく続けられる治療を一緒に考えます。
Q.食事療法や運動療法について相談できますか?
A.はい、ご相談いただけます。
糖尿病治療では、食事や運動など日々の生活習慣がとても重要です。
ただし、極端な食事制限や無理な運動は長続きしにくく、体調を崩す原因になることもあります。
当外来では、患者さんの生活背景や体力、年齢、仕事内容などをふまえ、継続しやすい方法を一緒に考えます。
Q.他院で治療中ですが、受診できますか?
A.受診いただけます。
現在の治療内容を確認したうえで、血糖コントロールや合併症リスクを評価し、必要に応じて治療方針をご提案します。
受診時には、紹介状、検査結果、お薬手帳、血糖自己測定の記録などをお持ちいただくとスムーズです。
Q.受診時には何を持っていけばよいですか?
A.以下のものをお持ちいただくと診療がスムーズです。
・健診結果
・最近の血液検査、尿検査の結果
・お薬手帳
・他院での治療内容がわかるもの
・血糖自己測定をされている方は血糖記録
・紹介状をお持ちの方は紹介状
Q. 初診でも受診できますか?
A.初診の方もご相談いただけます。
健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘された方、糖尿病予備群と言われた方、糖尿病治療中で治療内容の見直しを希望される方も受診可能です。
予約方法や診療日については、当院までお問い合わせください。
受診をご検討の方へ
健診で血糖値やHbA1cの異常を指摘された方、糖尿病治療中でお困りの方は、専門外来で詳しく評価することができます。
2026.05.12知恵が繋ぐ、その人らしいリハビリテーション――「こうのすえん」のアカザ収穫🌱
当院では、ソーシャルグッドプロジェクトの一環として病院農園「こうのすえん」を運営しています。
先日、この場所で利用者様の「豊かな知恵」に触れる、心温まる出来事がありました。
「あのアカザ、どうするの?」
きっかけは、通所リハビリテーションを利用されている、ある利用者様からの一言でした。
農園の片隅に生えていた「アカザ」という植物をご覧になり、「あのアカザはどうするの?」とスタッフに尋ねられたのです。スタッフが「雑草として抜いてしまう予定です」とお答えすると、その方は驚いた様子でこう教えてくださいました。
「それはもったいない。食べられるし、とっても美味しいのよ。」
現代では単なる雑草として見過ごされがちな植物も、かつては食卓を彩る貴重な自然の恵みでした。
利用者様のこの一言がなければ、私たちはその価値に気づくことなく通り過ぎていたかもしれません。
経験と知識を、活動の力に
後日、このお話をきっかけに、リハビリテーションの個別プログラムの一環として、実際に農園での収穫活動を行いました。
スタッフ見守りのもと、「ここが柔らかくて美味しいのよ」と、食べ頃の葉を丁寧に選別される利用者様。
屋外での歩行や、指先を使った細かな選別作業は、日常生活に必要な動作を維持するための実践的な訓練となります。
何より、ご自身の持つ知識をスタッフに伝え、役割を持って活動される際に見せられた生き生きとした表情が、非常に印象的でした。
共に生きる、知恵を分かち合う
当院のリハビリテーションでは、単に身体を動かすことだけを目指すのではありません。その方が歩んでこられた人生や、培われた知恵を尊重し、日々の活動に繋げていくことを大切にしています。
今回の「アカザの収穫」は、私たちスタッフにとっても「地域の方々に教わる」という貴重な学びの機会となりました。収穫されたアカザは、ご自宅でお浸しなどにして楽しまれるそうです。
これからも「こうのす共生病院」は、利用者様の「知恵」と「元気」が循環する、温かい場所であり続けたいと考えています。
※当院のリハビリテーションは、医師の指示に基づき、お一人おひとりの状態に合わせた個別計画に沿って実施しております。
こうのすえんとは
こうのすえんは、畑を続けたいという思いがありながらも、それが難しくなっていく葛藤を抱える地域の方々の声を出発点に、そのお手伝いの機会を活かしながら、農作業を通じて人と人がつながる場をつくる取り組みです。
それぞれの「やってみたい」「関わってみたい」を尊重し、畑から生まれる関係性や循環を、地域の中に育てていくことを目指しています。
2026.05.09【リハビリテーション科】外部講師による臨床指導・技術講習を実施しました
当院リハビリテーション科では、より質の高いリハビリテーションの提供を目指し、月1回、埼玉医科大学大学院赤坂清和教授に来ていただき、実際の症例をもとに、問診・評価・治療までの流れを直接ご指導いただきました。
今回のテーマは、「痛みの原因をどう見極めるか」
歩行や動作を動画で確認しながら、身体のどこに問題があり、なぜ痛みが生じているのかを多角的に分析。若手セラピストにとって、臨床推論や評価技術を学ぶ非常に貴重な機会となりました。
患者様との関わり方や、根拠を持ってリハビリを組み立てる視点など、多くの学びを得ることができました。
当院では今後も、「学び続ける組織」として専門性を高め、地域の皆様へより質の高いリハビリテーションを提供できるよう努めてまいります。