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2025.12.04「誤嚥(ごえん)」を甘く見ていませんか?“知られざるリスク”と正しい予防法

冬になると、インフルエンザや風邪が話題の中心になりがちですが、実はひそかに増えるのが 「誤嚥(ごえん)」 です。

誤嚥とは、食べ物や飲み物、唾液が誤って気道に入ってしまう状態のこと。

「むせただけ」と軽く考えがちですが、放置すると誤嚥性肺炎を引き起こし、特に高齢者では命に関わることもあります。

今回は、冬に誤嚥が増える理由と、今日から取り入れられる予防法を詳しくご紹介します。

なぜ冬は誤嚥が増えるのか?医学的に解説

① 空気が乾燥し、ノドの防御機能が低下する

冬は湿度が低下し、のどの粘膜が乾燥。
これにより、「気管に入らないように守る」機能が弱くなります。

② 体の動きが鈍くなり、飲み込みの反射が遅れる

寒さで筋肉がこわばると、舌やのどの動きが低下。
“飲み込む瞬間のタイミング”がずれ、誤嚥につながりやすくなります。

③ 風邪やウイルスで飲み込み能力が落ちる

冬は感染症の季節。発熱や体力低下も誤嚥を引き起こす原因です。

「むせやすい」は誤嚥の予備軍?こんな症状は要注意

入浴中の事故死者数は年間約5,000人とも言われ、交通事故死より多いという年もあります(消費者庁)。
食事中によくむせる

  • 水やお茶でむせることが増えた
  • 食後に咳が続く
  • 声がガラガラしやすい
  • 食事に時間がかかる
  • 食べ物が口に残る

これらは 誤嚥の前兆 の可能性があります。

特に高齢者は本人が気づかず「静かに誤嚥(不顕性誤嚥)」をしていることもあり、肺炎の原因になりやすいので要注意です。

冬の誤嚥を防ぐ!今日からできる対策

1.乾燥対策をする(最重要)

  • 室内を加湿(湿度40~60%が理想)
  • こまめに水分補給
  • マスクでのどを守る

粘膜がうるおうと誤嚥リスクが大きく下がります。

2.食事前に「嚥下ウォーミングアップ」

嚥下リハビリで実際に使われる方法です。

  • 首をゆっくり回す
  • 口を大きく開ける・閉じる
  • 「あ・い・う・え・お」体操

わずか1分で飲み込みやすさが変わります。

3.食事姿勢を整える(医学的エビデンスあり)

  • 背筋を伸ばす
  • 足底を地面につける
  • 食事は“前かがみ気味”が安全

姿勢が悪いと誤嚥が増えることが研究で分かっています。

4.食べ物は“とろみ”よりも“形状調整”が大事

実は誤嚥対策は なんでもとろみにすれば良いわけではありません。
個々の嚥下状態に応じた形にすることが大切です。

例:やわらかい肉→NG、スプーンで切れるほどに加工した肉→OK

医療の現場では「嚥下調整食」という分類に沿って食事を調整します。

5.むせやすい人は「食後の口腔ケア」が命を守る

口の中に細菌が多いと、誤嚥した際に肺炎を起こしやすくなります。

  • 歯磨き
  • フロス
  • 舌の清掃

これらは誤嚥性肺炎を大幅に減らせると研究で証明されています。

こんな症状がある場合は病院へ

  • むせが増えた
  • 食べる量が減った
  • 体重が落ちてきた
  • 発熱を繰り返す
  • 咳が長引く

誤嚥性肺炎の初期サインのこともあるため、早めに受診をおすすめします。

冬の誤嚥を「予防」しましょう

誤嚥は「高齢者だけの問題」のように思われがちですが、冬は誰でもリスクが高まります。

正しい知識と習慣で、多くの誤嚥は未然に防ぐことができます。

ぜひご家族全員で実践してみてください。

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