
当院では、ソーシャルグッドプロジェクトの一環として病院農園「こうのすえん」を運営しています。
先日、この場所で利用者様の「豊かな知恵」に触れる、心温まる出来事がありました。
「あのアカザ、どうするの?」
きっかけは、通所リハビリテーションを利用されている、ある利用者様からの一言でした。
農園の片隅に生えていた「アカザ」という植物をご覧になり、「あのアカザはどうするの?」とスタッフに尋ねられたのです。スタッフが「雑草として抜いてしまう予定です」とお答えすると、その方は驚いた様子でこう教えてくださいました。
「それはもったいない。食べられるし、とっても美味しいのよ。」
現代では単なる雑草として見過ごされがちな植物も、かつては食卓を彩る貴重な自然の恵みでした。
利用者様のこの一言がなければ、私たちはその価値に気づくことなく通り過ぎていたかもしれません。
経験と知識を、活動の力に
後日、このお話をきっかけに、リハビリテーションの個別プログラムの一環として、実際に農園での収穫活動を行いました。

スタッフ見守りのもと、「ここが柔らかくて美味しいのよ」と、食べ頃の葉を丁寧に選別される利用者様。
屋外での歩行や、指先を使った細かな選別作業は、日常生活に必要な動作を維持するための実践的な訓練となります。
何より、ご自身の持つ知識をスタッフに伝え、役割を持って活動される際に見せられた生き生きとした表情が、非常に印象的でした。
共に生きる、知恵を分かち合う
当院のリハビリテーションでは、単に身体を動かすことだけを目指すのではありません。その方が歩んでこられた人生や、培われた知恵を尊重し、日々の活動に繋げていくことを大切にしています。
今回の「アカザの収穫」は、私たちスタッフにとっても「地域の方々に教わる」という貴重な学びの機会となりました。収穫されたアカザは、ご自宅でお浸しなどにして楽しまれるそうです。
これからも「こうのす共生病院」は、利用者様の「知恵」と「元気」が循環する、温かい場所であり続けたいと考えています。
※当院のリハビリテーションは、医師の指示に基づき、お一人おひとりの状態に合わせた個別計画に沿って実施しております。
こうのすえんとは
こうのすえんは、畑を続けたいという思いがありながらも、それが難しくなっていく葛藤を抱える地域の方々の声を出発点に、そのお手伝いの機会を活かしながら、農作業を通じて人と人がつながる場をつくる取り組みです。
それぞれの「やってみたい」「関わってみたい」を尊重し、畑から生まれる関係性や循環を、地域の中に育てていくことを目指しています。
