日本の皆さんこんにちは。
こちらカンボジアよりアンコール共生病院(AKH)の西本です。
2024年10月19日、カンボジアはまだもう少し雨季が続きそうです。
今年の雨季は昨年と異なりデング熱やチクングニア熱が流行しませんでした。
(ちなみに私もまだ患ったことがありません、蚊には大人気ですが)
デング熱とは反対に今年は日本から多くの関係者様や新たな仲間がカンボジアに来てくださり、当院の見学と一緒に医療支援活動を行う機会が増えました。
こうのす共生病院の皆さんもカンボジアの感想をブログとして書いてくれていますので、是非そちらもご覧いただいた上で、今年のジャンケン大会はあなたが優勝です!!
今回のカンボジア滞在記は、9月に来てくれた短期ボランティア黒田さんが書いてくれました。
薬剤師かつ医学生というハイブリットな方。
黒田さん(クロちゃん)のカンボジア滞在記をお楽しみください。
クロちゃん自己紹介
皆様こんにちは、北海道から来ました黒田純平と申します。私は東京理科大学薬学部を卒業して薬剤師免許を取得後、北海道大学医学部医学科に学士編入学をしました。
写真左が私、右が現地加藤先生
現在の私は学生(3年)でありながら、薬剤師として活動しています。将来は薬剤師としての経験を活かしながら、医師として医療を必要とする人々や地域に包括的な医療を届けられる存在になりたいと考えています。
カンボジアに来た経緯
私は田舎の医療がそれほど充実していない地域で過ごした経験から、将来は医療格差の是正に貢献したいという目標がありました。真に医療が必要な地域であれば、国外にも視野を向けていきたいという思いもあり、これまで国内での国境なき医師団のボランティア活動などに参加してきました。 そんな中でより実地に近い環境で現場を見てみたいと思い、海外での活動を探していたところ、ボランティアのサイトの募集を見つけ、連絡したことが今回の活動の契機となりました。
サイトには色々な国での様々な団体の医療ボランティアが掲載されていました。しかし、どの情報を眺めていても単なるボランティア体験のような内容であり、「本当の意味でその地域や人々に貢献する活動はなんだろう・・・」と考え、まずは現地の需要を知り、計画をするところから始めようと思いました。そんな心情の中でこちらの一風変わった応募情報が目に留まり、この活動(オンラインワークショップ)に参加することに決めました。
実際の活動ではZoomで何度か現地の方からのお話を聞かせていただき、カンボジアの薬剤師事情や医療の現状を知りました。そしてやはり実際に薬剤師という立場から現場を見てみたいと話をしたところ、快く受け入れていただき今回のカンボジア訪問が実現しました。
カンボジアに対するイメージの変化
最近は自分の周りでもカンボジアへ観光に行く人が多く、比較的安全で医療や衛生環境も整ってきているまさに発展途中の国という印象を持っていました。実際行ってみると、シェムリアップ市街の店員さんや病院スタッフは英語で話すこともでき、治安も良く食事も美味しく、衛生環境も整っていて想像以上に発展していることに驚きました。
しかし街から少し離れて孤児院や学校へ行ってみると、15歳の小学生がいたり、孤児院に来た子どもはまずトイレの使い方を教えたという話を聞いたりする中で、観光客として見るカンボジアの世界とは大きな差があることも実感しました。医療体制についても、学校での健康診断がなく予防医療が浸透していないことや、日本では劇薬に分類される薬が薬剤師のいない街のドラックストアで買えてしまうなど、まだまだ医療体制や制度が不十分な点を多く感じました。
カンボジア旅行の感想
今回、「せっかくカンボジアに来たなら観光もした方が良い!!」という現地加藤医師のおススメもあり、アンコールの遺跡群やトンレサップ湖の観光、病院や孤児院の食品の買い出しに同行し、地元市場にも潜入するなど、とても満喫することができました。
観光で特に印象的だったのは、アンコール遺跡群をシェムリアップ市街から自転車で回ったことです。コースにして30kmくらい走ったのですが、帰り道の森の中でスコールに遭い、スマホが水没してマップが見られず、立ち往生する事態となりました。笑
幸いなことに木の下で雨宿りしている自分を見た現地の方が、荷物が濡れないようにと大きいビニール袋をくださり、道ゆく人に道を聞きながら無事に街へと戻ることができました。
今回の旅では、現地の人や病院のスタッフの皆様、人懐っこい学校や孤児院の子ども達と、多くの人々の温かさに触れることができました。また最大の収穫として、「本当の意味で現地に貢献するとはどういうものなのか?」を現地で活躍する西本さんや加藤先生の活動を通して見えて来たような気がしています。
健康診断をカンボジア人に広めること(現地の人には皆無な価値観の創造)や、引き継ぎのしやすいカルテフォーマットの作成(病院運営の適正化)、使用する薬の選定・在庫の管理、現地の医療従事者教育など、継続的で形や習慣として残るものを作っている印象を受けました。自分も何か現場にしっかりと残せるもの考えた上で、またカンボジアに行けたらと考えています。
最後になりますが、西本さんや加藤先生、病院スタッフの皆様、大変お世話になりました。感謝の意を込めて締めくくりとさせていただきます。ありがとうございました!!
写真左:分厚いステーキがたまらなく美味しいお店。
アンコール共生病院の眼科検診活動にも参加させていただきました。