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2024.07.11【リハビリ】高齢者に対するインソール効果

【リハビリ】高齢者に対するインソール効果

第35回日本運動器科学会にて、当院の理学療法士の鈴木さんが、TENTIAL社と共同で研究した「高齢者に対するインソールの効果」が、「若手奨励賞」を受賞されました✨鈴木さんへ今回の発表に対し、どの様な思いで取り組まれたのか、今後の展望について語っていただきました🎤

日々の生活にリハビリテーションを

鈴木:テーマは『高齢者に対するインソールの効果-TENTIAL社製インソールを用いて-』です。インソールを使用することで転倒予防効果があるのか?を研究の目的としました。
日本の高齢化は急激に進行しており、現在28%を超え“超”高齢化社会とされています。高齢者の転倒は重篤な怪我に繋がり、要介護原因の上位となっています。介護予防、傷害予防の観点から転倒予防は重要な社会課題と言えます。そんな中、リハビリテーションは効果的だと言えますが、すべての人に提供することは難しさがあります。そこでインソールに転倒予防効果が見いだせれば、簡単で手軽に挿入することができ、日々の生活や運動がリハビリテーションを兼ねていることになり、我々セラピストの手が届かない地域住民の歩行機能・バランス機能の向上が転倒予防があるのでは?と考えました。これは介護予防などだけでなく、健康寿命の延長や生活の質(QOL)の向上にもつながると思います。

研究と分析

鈴木:AYUMI EYEというベルトタイプの動作分析装置を用いて、歩くスピードやバランスや重心のブレなどを計測しました。また、バランス能力に強い相関がある足の指の握る力(足趾把持力:手でいう「握力」)を専用の機器を用いて計測しました。

鈴木:各被験者の計測結果をパソコンで管理し、インソール装着前とインソール挿入直後の1週、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の変化を比較検討しました。

維持期・生活期の自然回復へアプローチ

鈴木:入院患者さん、特に急性期の患者様はセラピストの介入が毎日あり、また自然回復の可能性もあります。対して機能がプラトーに達した維持期・生活期の患者様にはリハビリの回数も少なく、自然回復も乏しいです。今回の研究は後者向けに意義があると考えています。本研究の対象者は平均年齢89.3歳であり、先行研究でも発表されていない年齢層でした。また、施設入居者であるため活動もそこまで多くはない中で得られた研究結果でもあります。今回の研究結果からリハビリにかかる必要が現時点でない一般の方々にも転倒予防、傷害予防の効果があると私は考えています。

対象者の意識改革

鈴木:対象者の方々が計測を待ちわびてくださってっていたことです。次はいつ来るの?計測最終回ではもう来ないの?などの声が聞かれました。歩きやすくなったり、歩くスピードが向上したことが喜びに繋がっていたようです。また、徒手的な介入をしたわけでもなくインソールを入れただけで、各個人が自分自身の体や歩き方姿勢などを気にしてくださり体に意識が向いていていたところは驚きでした。

セラピストの皆さんへ

鈴木:約90歳という身体機能が大きく落ち込んでいるであろう方、体力的に負荷をかけた運動が難しいと思われる方などにもインソールという手軽な手段で機能の維持・向上がはかれました!年齢に関わらず可能性があると思います。患者さんだけでなく、職員も使用することで傷害予防などにもつながるのではないでしょうか!
今後も研究を進めていきます!この研究が多くのセラピストの臨床の一助となれば幸いです。

研究を支えてくれた仲間たちへ

鈴木:本研究発表を行うにあたって、神成理事長をはじめスライドの修正やアドバイスをしてくださった皆様に感謝申し上げます。また、発表に至るまでの計測や解析を手伝ってくれた研究班メンバー、さらに計測で席を外している中、臨床を回してくださったリハ科スタッフの皆さまに感謝申し上げます。

鈴木さんのプロフィール

鈴木優希 理学療法士 
2013年~2022年7月栃木県医師会塩原温泉病院勤務、回復期リハでスポーツ選手のリハビリ(競輪、競馬、競艇、野球など)、中枢神経疾患、運動器疾患患者へのリハビリ。2014~2015年は塩原温泉病院に勤務しながら国際医療福祉大学大学院 修士課程修了(保健医療学)研究分野は運動力学 三次元動作解析装置=VICONを用い研究。

2022年8月よりこうのす共生病院勤務

注力している分野:運動器、スポーツ

資格:修士(保健医療学)、運動器認定理学療法士、福祉住環境コーディネーター2級、一般社団法人日本運動器理学療法学会専門会員A、一般社団法人日本スポーツ理学療法学会会員、地域包括ケア推進リーダー、介護予防推進リーダー、(公益社団法人日本書道作家協会公認書道教授=師範)

趣味:オートバイ、ロードバイク、御朱印、野球、スノーボード

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